不倫相手が「独身」と偽っていたことを主張するには、交際関係だけでなく、相手が結婚していた事実と、独身だと説明した事実の両方を示す証拠が必要です。メッセージの保存、会話の録音、相手の発言を知る人の証言などを、時系列が分かる形で集めます。
ただし、独身と偽られていたからといって、慰謝料の請求や責任が自動的に認められるわけではありません。誰が誰に請求するのか、相手がどのような説明をしたのか、結婚の事実を知ることができた状況だったのかによって判断が変わります。
必要な証拠は「不倫」「既婚」「独身と偽った」の3種類
証拠は、次の3点をそれぞれ示せるように集めることが重要です。
- 相手と肉体関係を含む交際があったこと
- 相手が実際には既婚者だったこと
- 相手が独身だと説明し、その説明を信じて交際したこと
1つの証拠ですべてを証明できるとは限りません。たとえば、メッセージに「独身だから付き合ってほしい」と書かれていても、それだけでは実際に肉体関係があったことまでは分からない場合があります。複数の証拠を組み合わせて、交際開始から発覚までの流れを示します。
「独身と偽った」ことを示す証拠
独身だと説明した事実は、相手の具体的な発言や、それを受け取った状況が分かる資料で示します。
- 「独身」「結婚していない」「離婚した」などと書かれたLINEやメール
- マッチングアプリやSNSのプロフィール画面
- 独身であることを前提にした会話の録音
- 相手が第三者にも独身だと話していたことを示す証言
- 独身だと説明された日時、場所、会話内容を記録したメモ
- 結婚歴や家族の有無について質問した記録と、相手の回答
「独身」と明言していなくても、「妻とは別居している」「もう離婚している」「家庭はない」など、結婚していないと受け取るのが自然な説明をしていた場合は、その内容が分かる証拠が役立つことがあります。ただし、単なる推測や曖昧な発言だけで、独身と偽ったことが認められるとは限りません。
相手が既婚者だったことを示す証拠
相手が実際には結婚していたことを示す資料も必要です。相手の配偶者が公開したSNS、結婚式や家族写真、本人が送った家庭のメッセージなどが手がかりになります。
- 配偶者との結婚生活が分かるSNS投稿や写真
- 相手が配偶者や子どもについて話したメッセージ
- 自宅に届いた郵便物や家族との同居が分かる資料
- 相手の結婚を知っている人の証言
- 相手が既婚であることを認めた録音やメッセージ
- 訴訟や交渉の中で提出できる公的資料
戸籍などの公的書類は、誰でも自由に取得できるとは限りません。相手の郵便物を無断で開封したり、他人のアカウントに不正にログインしたりして集めた資料は、別の法的問題につながるおそれがあります。入手方法に不安がある資料は、利用する前に弁護士へ確認してください。
不倫関係を示す証拠
肉体関係を含む交際があったことは、慰謝料や責任を判断するうえで重要です。直接的な写真がなくても、複数の状況証拠を組み合わせて判断されることがあります。
- ホテルや相手の自宅への出入りが分かる写真・動画
- 宿泊施設の予約履歴や領収書
- 肉体関係を前提にしたLINEやメール
- 旅行や宿泊を伴う日程の記録
- 交際相手としての呼び方や、継続的なデートの記録
- 妊娠、避妊、性行為についての具体的なやり取り
- 交際の事実を知る友人や同僚の証言
単に食事をした、連絡を取ったというだけでは、通常は肉体関係まで証明できません。一方で、宿泊、ホテルへの出入り、性行為をうかがわせるメッセージなどが重なると、交際の内容を推測する材料になります。
証拠として残すときのポイント
スクリーンショットだけでなく、前後の会話や送信者、日時が分かる状態で保存してください。画像を切り取ったり加工したりすると、内容の信用性を疑われることがあります。
- メッセージの画面を、相手の名前・日時・前後の会話を含めて保存する。
- 可能であれば、トーク履歴やメールを元の形式でも保存する。
- 写真や動画は撮影日、保存先、入手した経緯を記録する。
- 会話を録音した場合は、録音日時、場所、参加者、会話の前後関係をメモする。
- 交際開始から既婚発覚までを、日付順の一覧にまとめる。
- 証拠の原本は編集せず、コピーを使って整理する。
録音をする場合も、相手のスマートフォンを盗み見たり、アカウントに侵入したりする方法は避けてください。自分が当事者である会話の録音でも、録音方法や内容によって評価が変わるため、重要な場面では専門家に確認するのが安全です。
独身と偽られた場合でも慰謝料が必ず認められるわけではない
相手が既婚者であることを知らず、独身だと信じることに無理がない状況で交際していた場合、既婚者であることを知っていた場合とは異なる評価になる可能性があります。
ただし、「独身だと偽られた」という主張だけで、直ちに責任がなくなるわけではありません。交際期間、相手の説明、結婚指輪やSNSの状況、家庭の話を聞いていたか、既婚と疑う事情があったかなどを総合的に見て判断されます。
また、相手の配偶者から慰謝料を請求されている場合と、独身と偽った相手に自分が損害賠償を求める場合では、確認すべき事実が異なります。請求する側と請求される側、結婚の事実を知った時期によって、必要な反論や証拠も変わります。
まず行うこと
最初に、メッセージやプロフィールを削除せず、相手が独身だと説明した箇所と、既婚だと判明した経緯を保存してください。そのうえで、交際の経過を日付順に整理し、相手が既婚と疑う事情が当時あったかも書き出します。
証拠がそろっているように見えても、法的な評価は状況によって分かれます。慰謝料を請求する、または配偶者からの請求に対応する場合は、保存した資料をまとめて弁護士に見せ、独身と偽った説明が責任の判断にどう影響するかを確認することが大切です。







