不倫の証拠に位置情報の共有は使える?

不倫の証拠に位置情報の共有は使える?

不倫の証拠として、位置情報の共有記録が使える場合はあります。ただし、位置情報だけで不倫が証明できるとは限らず、取得方法が違法・不適切だと、証拠としての評価や別の法的責任が問題になることがあります。

特に、本人の同意を得て利用していた位置情報共有の履歴と、無断でスマートフォンに監視アプリを入れたり、GPS端末を取り付けたりして取得した情報では扱いが異なります。

位置情報の共有記録だけでは不倫の証拠として弱い

位置情報から分かるのは、原則として「そのスマートフォンや端末が、いつ、どこにあったか」です。本人が誰と会っていたのか、何をしていたのかまでは、位置情報だけでは分かりません。

たとえば、ラブホテルや特定の相手の自宅付近に複数回滞在していた記録があれば、不倫を推測する材料にはなります。しかし、仕事、友人との付き合い、移動経路の誤差など、別の理由も考えられるため、位置情報だけで不貞行為、つまり肉体関係があったことまで直ちに証明できるわけではありません。

位置情報は、他の証拠と組み合わせて不倫を裏付ける補助資料として使うと考えるのが現実的です。

同意して使っていた位置情報の履歴は資料になり得る

夫婦間で互いに同意して位置情報を共有していた場合、その共有画面の記録や履歴は、不倫を調べるきっかけや、行動の裏付けとして利用できる可能性があります。

たとえば、次のような情報がそろっていると、位置情報の意味を検討しやすくなります。

  • 位置情報が記録された日時
  • 滞在した場所と滞在時間
  • 同じ場所への訪問を繰り返しているか
  • 本人の説明やメッセージとの食い違い
  • 宿泊施設の利用記録や写真など、別の資料
  • 相手とのやり取りから分かる日時・場所

ただし、共有に同意していたとしても、その情報を加工したり、都合のよい部分だけ切り取ったりすると、記録の信用性を疑われることがあります。可能であれば、画面の一部だけでなく、前後の履歴や取得方法が分かる状態で保存します。

無断でGPSや監視アプリを使う場合は注意が必要

相手の同意なく、スマートフォンに監視アプリをインストールしたり、アカウントに不正にログインしたり、車などにGPS端末を取り付けたりする行為は、方法や状況によってプライバシー侵害、ストーカー規制法、刑事責任などが問題になる可能性があります。

配偶者であっても、相手の端末やアカウントを自由に監視してよいとは限りません。位置情報を取得したいからといって、パスワードを推測してログインする、端末のロックを解除してアプリを入れる、無断で追跡機器を設置する、といった行為を自分で行うのは避けてください。

また、違法または不適切な方法で集めた情報は、裁判で必ず無効になると一律に決まっているわけではありません。しかし、取得方法が問題視されると、証拠の信用性が下がったり、逆に自分の行為について責任を問われたりするおそれがあります。

すでに無断取得した位置情報がある場合は、さらに監視を続ける前に、弁護士へ取得方法を含めて相談するのが安全です。

不倫の裏付けとして評価されやすい位置情報の特徴

位置情報の記録は、次の条件が多いほど、不倫を検討する際の具体的な資料になりやすいと考えられます。ただし、これらを満たせば不倫が確定するという意味ではありません。

確認する点 意味
日時が明確である 他のメッセージや写真、本人の説明と照合しやすい
同じ場所への訪問が複数回ある 一度きりの移動より、継続した関係を推測する材料になりやすい
滞在時間が分かる 単なる通過や短時間の訪問との区別に役立つ
場所が具体的である 施設名や住所が分かると、他の資料と照合しやすい
他の証拠と一致している 行動の一貫性を確認しやすい

一方で、位置情報の誤差、端末を別の人が持っていた可能性、記録の欠落や設定変更なども考慮する必要があります。地図上の一点だけを見て、本人の行動や不倫の事実を断定しないでください。

位置情報を証拠として保存する方法

保存するときは、位置情報の内容だけでなく、「どのようなサービスで、どの端末から、いつ確認したか」が分かるようにします。

  1. 位置情報が表示されている画面を、日時や場所が分かる状態で保存する。
  2. 必要に応じて、前後の履歴や同じ場所への移動記録も保存する。
  3. スクリーンショットだけでなく、サービスから正式に出力できる履歴があれば、その元データも保管する。
  4. 画像を加工したり、文字や日時を後から書き加えたりしない。
  5. 確認した日時、共有の開始時期、共有に至った経緯をメモする。
  6. 本人の説明、メッセージ、写真、領収書など、関連する資料を元の状態で保管する。

スクリーンショットは画面の内容を示す資料にはなりますが、それだけでは改変の有無や取得経緯が分かりにくいことがあります。元の端末やアカウントを削除・変更する前に、どの資料を残すべきか専門家へ確認してください。

位置情報と一緒に集めるとよい資料

不倫の立証では、位置情報と別の資料が同じ日時や場所を示しているかが重要です。たとえば、次のような資料が考えられます。

  • 不倫相手とのメッセージやメール
  • 宿泊施設や飲食店の領収書
  • 写真や動画の撮影日時・位置情報
  • 交通系ICカードや決済履歴
  • 本人の説明を記録したメモ
  • 探偵が適法に作成した調査報告書

ただし、相手のスマートフォンやアカウントを無断で操作したり、メッセージを転送・公開したりする行為にも別の問題が生じることがあります。集めたい資料があっても、取得方法を自己判断で広げないことが大切です。

慰謝料請求や離婚で使えるかは証拠全体で判断される

位置情報が慰謝料請求や離婚の手続きで役立つかは、記録の正確さ、取得方法、訪問の回数、滞在状況、他の証拠との一致などをまとめて判断します。

不貞行為を理由に慰謝料を求める場合、単に異性と会っていたことではなく、原則として婚姻関係にある相手が自由な意思で第三者と性的関係を持ったことが問題になります。位置情報だけではこの点が分からないことが多いため、訪問先や滞在時間を示す資料だけで請求が認められるとは限りません。

また、夫婦関係がすでに破綻していたか、相手が既婚者だと知っていたかなど、慰謝料の判断に関係する事情もあります。請求を考えている場合は、証拠を削除・加工せず、取得経緯も含めて弁護士に見せて判断してもらうとよいでしょう。

位置情報の共有を不倫の証拠にするか迷ったときの判断

まず確認するのは、その位置情報が本人の同意のもとで共有されていたかです。次に、日時・場所・滞在時間が分かるか、他の資料と一致するかを確認します。

  • 同意して共有していた履歴で、日時や場所が明確:補助資料として保存を検討する
  • 位置情報だけで不倫を判断している:断定せず、他の資料との一致を確認する
  • 無断でアプリやGPSを使っている:追加の監視をやめ、取得方法を含めて相談する
  • 慰謝料請求や離婚を考えている:資料を加工せず、早めに法律専門家へ確認する

位置情報の共有は、不倫の行動を考える手がかりにはなりますが、それだけで不倫を証明できるとは限りません。共有の同意があったか、記録が正確か、ほかの証拠と組み合わせられるかを確認し、無断監視や不正アクセスにあたる方法は避けてください。