浮気相手が独身でも、慰謝料を請求できる可能性はあります。相手が独身か既婚かは、請求できるかどうかを決める中心的な条件ではありません。主に、相手があなたの配偶者の結婚を知っていた、または知らなかったことに落ち度があったうえで、不貞行為によって夫婦関係を侵害したかどうかが判断されます。
ただし、相手が本当に既婚者だと知らず、知らなかったことにも落ち度がなければ、慰謝料請求が認められにくいことがあります。
浮気相手が独身でも慰謝料を請求できる理由
慰謝料請求の根拠は、浮気相手が結婚しているかどうかではなく、他人の夫婦関係を知りながら不貞行為をしたことで、配偶者の権利や夫婦関係を侵害したことにあります。
不貞行為とは、一般に配偶者以外の人と自由な意思で性的関係を持つことを指します。民法709条の不法行為責任や、複数の人が同じ損害に責任を負う場合の民法719条が、慰謝料請求の基本的な根拠になります。詳しくはe-Gov法令検索の民法で確認できます。
そのため、相手が独身であっても、次の条件を満たすと慰謝料請求が認められる可能性があります。
- あなたと浮気をした人が法律上の夫婦である
- 浮気相手が、その人が既婚者だと知っていた、または知らなかったことに落ち度がある
- 浮気相手との関係が、夫婦関係を侵害する不貞行為にあたる
- その行為によって精神的な苦痛などの損害が生じている
浮気相手が既婚者だと知らなかった場合
浮気相手が既婚者だと知らず、知らなかったことにも落ち度がない場合は、慰謝料請求が難しくなるのが一般的です。たとえば、配偶者が独身だと偽り、結婚指輪やSNSなどからも既婚者だと分かる事情がなかった場合は、相手の責任が否定される可能性があります。
一方で、相手が「知らなかった」と言っているだけで、直ちに請求できなくなるわけではありません。次のような事情があると、既婚者だと知っていた、または気づけたのではないかと判断されることがあります。
- 配偶者が結婚していることを本人から聞いていた
- 結婚指輪をしていることを見ていた
- 自宅や家族、子どもの存在を知っていた
- 既婚者であることが分かるSNS投稿やメッセージを見ていた
- 共通の知人などから結婚していると知らされていた
- 長期間にわたって自宅に行くことを避けるなど、既婚者だと疑う事情があった
実際に知っていたか、知らなかったことに落ち度があるかは、メッセージの内容、交際期間、会う場所、相手の説明などを含めて個別に判断されます。
慰謝料を請求できない、または認められにくい主なケース
既婚者だと知らず、知らなかったことにも落ち度がない
相手が独身だと信じるのが無理もない状況であれば、浮気相手に故意や過失がないとして、請求が認められない可能性があります。
浮気を始める前から夫婦関係が破綻していた
不貞行為が始まる前から、夫婦が長期間別居していた、離婚に向けた話し合いが進んでいたなど、夫婦関係がすでに実質的に破綻していた場合は、浮気相手が夫婦関係を侵害したとはいえないと判断されることがあります。
単に夫婦仲が悪かった、夫婦げんかが多かったというだけで、直ちに「破綻していた」とは限りません。別居の期間や生活実態、離婚協議の有無などを含めて判断されます。
不貞行為の証拠が不足している
親密なメッセージや二人で写った写真だけでは、性的関係があったことまで証明できない場合があります。ラブホテルへの出入り、性的関係を認めるメッセージ、本人の発言など、内容の異なる証拠を組み合わせて検討します。
慰謝料はいくら請求できる?
慰謝料の金額は一律ではありません。婚姻期間、不貞行為の期間や回数、浮気によって別居・離婚に至ったか、子どもの有無、浮気相手の対応などによって変わります。
相手が独身だから慰謝料が高くなる、または安くなると決まっているわけではありません。独身であることは、慰謝料の請求先になれるかどうかと、金額の判断を分けて考える必要があります。
配偶者と浮気相手の両方に請求できる場合でも、同じ不貞行為による損害について二重に受け取れるわけではありません。どちらか一方から支払いを受けた金額は、原則として全体の損害額との関係で調整されます。
請求する前に確認したい証拠
まずは、浮気相手が既婚者だと知っていたこと、または知ることができた事情を示す証拠を確認します。あわせて、不貞行為そのものを示す証拠も必要です。
- 浮気相手とのメッセージやメール
- 既婚者であることを話している記録
- 配偶者と浮気相手の性的関係をうかがわせる発言
- ラブホテルや宿泊施設への出入りに関する記録
- 不貞行為を認めた書面や録音
- 浮気相手が結婚生活を知っていたことを示すSNSや写真
証拠を集める際は、相手のアカウントへ無断でログインしたり、脅迫や執拗な連絡をしたりしないよう注意が必要です。入手方法によっては、別のトラブルにつながることがあります。
浮気相手が独身の場合の請求の進め方
- 不貞行為と既婚者だと知っていた事情を整理する。メッセージや写真は、削除せず日時や相手が分かる状態で保存します。
- 誰に何を請求するかを決める。浮気相手だけでなく、配偶者への請求を含めて、損害の全体を整理します。
- 慰謝料の金額と支払期限を検討する。根拠のない高額請求ではなく、婚姻期間や不貞行為の内容などを踏まえて設定します。
- 書面などで請求する。請求の根拠、金額、支払期限を明確にします。相手が事実を否定している場合は、やり取りを記録に残します。
- 合意できなければ、弁護士への相談や裁判上の手続きを検討する。証拠の評価や時効の問題があるため、早めに資料を整理することが大切です。
相手が既婚者だと知っていたかどうかが争点になりそうな場合は、請求書を送る前に、証拠を見せたときの反論まで想定して検討します。請求できる可能性があることと、実際に慰謝料を回収できることは別なので、相手の住所や支払い能力なども現実的な判断材料になります。
結論:浮気相手が独身でも請求できるが、既婚者だと知っていたことが重要
浮気相手が独身でも、あなたの配偶者が既婚者だと知りながら不貞行為をした場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。反対に、既婚者だと知らず、知らなかったことにも落ち度がない場合や、浮気の前から夫婦関係が破綻していた場合は、請求が認められにくくなります。
最初に、浮気相手が既婚者だと知っていたことを示す証拠と、不貞行為を示す証拠を分けて保存し、請求の可否を判断してください。







